恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
佳音を守るようにして廊下の角を曲がった女の子たちの背中を見送りながら、古庄はつぶやいた。
口ではそう言っても、解決しきれない問題を抱えて、古庄の表情は張りつめている。
「…森園さんには…、安心できる居場所と…、信頼して、甘えられる人間が必要なんですよね……」
佳音のことに関しては、ずっと見守るだけだった真琴が、ようやく古庄に助言してくれた。
真琴の言う通りだと、古庄は思う。
佳音は自分に居場所になり、甘えさせてくれる人間になってほしかったのだと思う。
そのために佳音は執拗に自分に対して絆を求め……、それを自分は拒絶した……。
いずれにせよ、このままにしておくと、佳音はいずれ見せかけだけの甘い言葉の誘いに乗り、いかがわしい場所に行き、悪い人間たちにすがってしまうだろう。
気を取り直すように、古庄は息を抜いた。
「さあ、朝礼に行かないと。1時間目も解体の授業が入ってるだろ?ぐずぐずしてられない」
ポンと真琴の背中を叩くと、小走りでホームルームに入って行く。
真琴も深呼吸をして気持ちを切り替え、足早に隣の教室へと向かった。