恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
女の子たちの話はそこでいったん途絶え、佳音の様子を窺った。
佳音は依然として、唇を噛んだまま視線を落として黙っている。
けれども、その頭の中では、いろんなことが渦巻いていた。
クラスメートたちは気づくことができたのに、どうして自分にはできなかったのだろう…。
あれだけ古庄を独り占めするように一緒にいたのに、佳音は古庄の視線の向く先や、そこに込められている想いなんて考えもしなかった。
自分だけを見てほしい…。
自分だけを想ってほしい…。
佳音は古庄にそれを願うばかりで、自分からの想いの全てを受け止めてもらいたいばかりで、自分から古庄のことを本当に理解しようとは思っていなかったのだと、佳音はやっと気が付いた。
古庄の周りでキャーキャー言って騒いでばかりいるこの子たちを、「子どもっぽい」と心の中で嘲笑っていた自分。その自分の方が、もっと幼い感覚でしか古庄を想っていなかったのだ。
「二人が結婚してることに気付いたのは、修学旅行の頃からよ。お腹に赤ちゃんのいる賀川先生を、古庄先生は常に気にかけて、いたわってあげてたから…」
「ホント、生徒のことよりも、古庄先生の視線が真っ先に向くのは、賀川先生なのよ。さっきも誰か言ってたけど…、あれで夫婦じゃない方が不自然だと、私たちも思ったの…」