恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



戸部が気の利いた言葉さえ出せず、首を横に振ると、真琴はそんな戸部にも挨拶代わりに微笑みかけて、職員室を後にした。




佳音が個別指導を終えて、職員室の古庄のもとへと再び姿を見せたのは、2時間近く経ち、日もとっぷりと暮れた頃だった。


「石井先生から、ずいぶん念入りに指導してもらったね」


傍らにたたずむ佳音に、古庄がそう声をかけると、佳音は少し目線を泳がせてそれに反応する。


「…でも、念を入れすぎると続かないから、少しずつでいいんだぞ」


そんな風に優しい言葉をかけられると、佳音は鼻の奥がツンとして、ここが職員室なのにかかわらず泣き出してしまいそうだった。

憎しみのような感情よりも、やはりまだ消し去れない古庄への慕情が切なすぎて…。



「それじゃ、帰ろうか。校門のところに車を回すから、そこで待ってなさい」


古庄は、そう佳音に伝えると、職員室の席を立った。


佳音を送って行くと言っても…、さすがに自転車に二人乗りするわけにはいかず、古庄は佳音を待つ間、一旦自分のアパートに帰り自転車から自動車に乗り換えて、再び職員室へと戻って来ていた。


佳音の心の中では様々な感情が暴れまわっていたが、それを必死に押し止めながら、古庄に言われるがまま車に乗り込む。


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