偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
寝ていた俺は奈那子の迫る危機に対処出来なかった。

奈那子の危機を救ったのが柚希さんとは。全くバツの悪い話で。


「まぁ―稜真は水が苦手だし、奈那子さんが溺れても救えないか…」

「おーい大丈夫か?」

兄貴と小陽さんが心配そうに近寄って来る。

「ほら、柚希」

兄貴は服のままでプールに入り、全身ずぶ濡れの柚希さんにバスタオルを差し出す。


「無事で良かったなぁー。奈那子さん」

「はい、相馬先生のおかげです」

柚希さんはバスタオルで濡れた髪を拭いた。


「稜真は何してたんだ?」

「稜真さんは寝てました」

「寝てた!?パートナーの危機に寝てたとは…男として失格だな」

「うるせぇよ。奈那子はてっきり俺と一緒に昼寝してたと思ってたから…気づかなかったんだよ」

俺は格好の悪い言いワケをする。

柚希さんの株を上げているようにもとれる。


「まぁ気を抜かないコトだな。稜真」

「そうだな」

俺は半分不貞腐れて、柚希さんに相槌した。



< 105 / 210 >

この作品をシェア

pagetop