偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
*********

田園調布にある濱部邸。

稜真さんの指示通り、母親の大好きな銀座の『帝都デパート本店』にある有名パティシエ・御堂海里の店でザッハトルテを購入。

彼の選んだお嬢様風のファッションに身を包み、今日だけはコンタクトを装用し、いざ出陣した。

「初めまして…妻の小陽です」

私は即席で仕上げられた外見だけのお嬢様。
目の前に居るのは正真正銘のお嬢様。真のお嬢様はカラダの奥から品の良さが溢れ、丹精込めて大切に育てられた温室の花のようだった。


私は伊集院元総理の令嬢・小陽さんに尻込みしてした。


「花嫁となると女性の好みも変わるもんだな。んっ、でも…どこかで見たコトある顔」
「兄貴…いきなり…俺の婚約者を口説くな」
「俺は別に…どこかで見たコトあるなぁと思って…」

小陽さんの隣に立つのは『星凛堂』副社長・濱部拓真さん。

黒髪で整髪剤で後ろに撫でるようにセットした髪型。
顔立ちも稜真さんと違い、栗原さんのように怜利な雰囲気。

「拓真…小陽さんも居るんだし、他の女性にそんなコト言わないの」

「母さんまで…」

「私は拓真さんを信じますから…」
「そう言って貰えると助かるよ。小陽」
拓真さんと小陽さんは仲睦まじいコト。

「こちら方こそ…初めまして…地道奈那子と申します。今日はこのような晴れやかな席にお招き頂きありがとうございます」
拓真さん・小陽さん夫妻+母親の純名さん3人の存在感に圧倒されながらも稜真さんの為、私の為に結婚相手を演じた。

「固い挨拶はいいわよ。今日はクリスマスイブ。皆で楽しくお祝いしましょう」
純名さんの優しい声音が私の緊張を緩めた。








< 58 / 210 >

この作品をシェア

pagetop