最後の恋の始め方
 すると……。


 「以前、話したよね。人手が必要だって」


 僕は理恵を誘った。


 「卒業後はうちの仕事場に来てくれないかな。それまではバイトとして手伝ってくれれば」


 行き場のない理恵は、僕の手を取った。


 心も体も……離れてなど生きることはお互いできなかった。


 それまで理恵は家庭教師のバイトをしていたけれど、ちょうど教え子は皆高校合格を果たして、四月からは新たな生徒を担当する段階だった。


 たまたま区切りの良いタイミングだったので、理恵は家庭教師のバイトは辞めて、大学の合間に僕の仕事を手伝うことになった。


 ……。


 「……あいつからメール来てたよ。相変わらず元気にやってるらしい」


 また佑典を思い出し、物思いにふけっているのを察した僕は理恵に告げた。


 酔った後輩、確か内村とかいう子を佑典が介抱しながら帰宅、その後の一連の問答を目の当たりにして、いたたまれなくなった理恵は家を飛び出した。
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