最後の恋の始め方
 これからいくらでも、一緒の時を過ごせるはずだったのに。


 「何か事情でもあったのですか」


 「何でだろうね。離れているうちに、お互いがそれぞれ別の生き方を見つけてしまっていたのかな」


 グラスをテーブルに置き、山室さんはため息をついた。


 「それはそうと、理恵ちゃんにも単刀直入に聞いていいかな」


 ついに来たかと、覚悟を決めた。


 「佑典とのこと。まさか別れるとは……。最初聞いた時びっくりしたよ」


 「……」


 山室さんがどこまで知っているのか解らないので、私は口をつぐむしかなかった。


 すると意外なことを言い始めた。


 「あいつがおかしいんだよね。まさか海外校に勤務だなんて。しかも理恵ちゃんに何の相談もなかったんだよね」


 思えば山室さんは佑典の進路に、一貫して反対していた。


 「佑典とも色々メールで話したんだけど、この赴任話、最初から無理があったのかもしれないね」


 山室さんは佑典と、今でもこまめにメールし合っているらしい。


 私と別れた件がどう伝わっているのか、怖い。
< 20 / 162 >

この作品をシェア

pagetop