最後の恋の始め方
 和仁さんの視線が気になりながら、玄関へと急いだ。


 「ずいぶん早かったですね」


 予定より10分以上早く到着した山室さん。


 「途中、想定外に道路がすいていてね。思っていたよりずっと早く着いちゃった。理恵ちゃんに早く会いたかったし、よかったよ」


 山室さんはそう言ってにこっと笑う。


 「無理しないでくださいね。この辺りは札幌よりも雪が多いし、天候もよくないので」


 ちょっと恥ずかしかったので、私は目を合わさないまま答えた。


 「朝方は吹雪いていたけど、今は晴れてきたね。こっちのほうがむしろ札幌よりも除雪が行き届いていて、走りやすかったからスピード出しちゃった」


 この地域は金持ちが多く、税収が多くて優遇されているのか、車道の除雪もまめに行なわれている。


 丘の上の住宅街ゆえ、坂道が多いのだけどロードヒーティングも設備されていて。


 交通の便があまりよくない車社会をサポートしている。


 「はい。リクエストのカレンダー」


 ポスターサイズのカレンダーが、丸められて袋に入れられている。


 山室さんは二つ持って来てくれた。
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