最後の恋の始め方
 ……。


 「では、お忙しいところ、お邪魔いたしました」


 「いやいや、無理やり引き止めてしまったのは僕のほうだから」


 そろそろ和仁さんの出発時間が迫ってきたので、今日のところはこれまでとなった。


 山室さんもまた、今回は私にカレンダーを届けるだけのつもりだったようで。


 昼過ぎには勤務先に戻らなければいけないとのことだった。


 「では次回は、契約に関する書類をお持ちしますので」


 「こちらも印鑑などを準備して待ってるので、よろしくお願いするよ」


 「ありがとうございます。粗品も持参します」


 山室さんは再度、深々とお辞儀をした。


 大型の契約をゲットすれば、山室さんにもかなりのボーナスポイントになるのだろう。


 「そんなにかしこまらなくてもいいよ。佑典が君のお世話になったという縁もあるし、今は寺本とも親しくしているようだから……。これを機に是非僕も、君とはお近づきになりたいね」


 和仁さんは余裕の表情で、山室さんに語りかけた。
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