最後の恋の始め方
 ところが。


 正午を15分ほど過ぎた頃、理恵からの着信が。


 ちょうど信号が眺めの交差点だったため、電話を取った。


 「もしもしっ、和仁さん?」


 ちょっと焦った声だった。

 
 「理恵、どうしたの? 今向かっているんだけど」


 何か緊急事態でも発生して、会えなくなったのかとちょっと心配になったところ、


 「私もう、15分も待ってるんですけど……」


 「えっ15分? どうして?」 


 「だって和仁さん、正午に札幌駅って言ったじゃないですか」


 「正午? 正午に理恵は大学を出てこっちに向かうって話では」


 ……やがて僕たちは、お互いに思い違いをしていたことに気がついた。


 僕は「理恵が大学を出発するのが正午」だと判断し。


 理恵は「僕が待ち合わせ場所に到着するのが正午」とみなしていた。
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