最後の恋の始め方
 「だけど最大の理由は……。理恵の浮気防止かな」


 「だから私、」


 「僕のテリトリー内に、別の男を連れ込んで楽しむような悪い子には……。それ相応のお仕置きをするつもりだけど」


 また強い力で連れ戻され、中断していた行為を再開した。


 夜の寒さで冷えていた素肌が、再び熱を帯びる。


 たちまちのうちに先ほどまでのように、なすがままになってしまう。


 「あ、やめて……」


 容易く体を開かれ、私の所有権は自分にあると示すかのごとく……全身に教え込まれる。


 いつもならここに至るまでに、じらすように囁かれたりゆっくりと触れられたり。


 あまりにお預けを食らって、いっそのこと早く始めてほしいと願うくらいなのに今夜は。


 こんな強引に抱かれるのは、おそらく初めてのこと。


 嫉妬……されてるの?


 体はこんなに乱されていても、当初は頭の中は非常に冷静で、あれこれ考えていた。


 そのうちどうでもよくなってきた。


 体の自由が利かなくなるくらいに、私は和仁さんから与えられるものに溺れていた。
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