最後の恋の始め方
 「知ってる? サハラ砂漠の砂って、粉みたいなんだよ」


 ピラミッドの写真を眺めながら、理恵に思い出話をした。


 「え。海辺の砂とは違うんですか」


 「よく見る海辺の砂のように粒は大きくなく、どちらかと言えば火山灰みたいな感じ。風化が進んでいるんじゃないのかな」


 画像は自動切り換えなので、五秒ぐらいで次のものに自動的に変わっていく。


 まずピラミッドの遠景。


 数キロ離れた地点から、大きなピラミッドが三つ並んで撮影されている。


 「あまりに巨大だから、これくらい離れないと全景は写せないんだよ」


 次に近景になった。


 真下から撮影したもの。


 高層ビルを地上から見上げる感じだろうか。


 いや、比べ物にならないほどにスケールが違う。


 ピラミッドを構成する石の一つ一つの巨大さも、辺りを行き交う他の観光者と比較すると思い知らされた。


 クレーンも大型汽船もない時代に、よくぞこんなものを建設できたと。


 またそのような古代の建築物が、幾千の時を越えて僕たちの目の前にそびえているという事実にも驚かされる。
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