最後の恋の始め方
 僕は内心、かなり動揺していた。


 理恵に誤解されたらどうしようか、それだけが不安だった。


 僕があの山室とかいう先輩に嫉妬するあまり、報復に亡き妻の写真をこれ見よがしに見せつけたと誤解されたら。


 心配でたまらなかったものの、言いわけしたら余計に墓穴を掘りそうなので何も言えずにいた。


 「サハラ砂漠観光の後、再びバスに集合となったんですね」


 「それから日も暮れてきて、ホテルに戻りレストランでビュッフェスタイルの夕食を取ったんだ」


 何事もなかったかのように理恵が話しかけてきたので、僕も自然体で対応。


 レストラン全景の画像が最後に映し出されて、シリーズは終了となったようで自動更新は止まった。


 「この日の旅程は、これで終了だ」


 CDをパソコンから取り出し、ケースに入れた。


 中には他にCDが数枚保管されている。


 もしかしたら今の画像の他にも、妻のものが残っているかもしれない……。
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