最後の恋の始め方
***


 「あ……、私……」


 「いきそう?」


 理恵はかろうじて頷いた。


 「そのまま何もかも忘れて」


 ……ここは僕さんの部屋、ベッドの中。


 美味しいワインは、あくまで口実。


 理恵は体を重ねるために、はるばるここまでやって来た。


 髪は枕元で大きく乱れ、着ていたはずのものはすでにどこかに見失い。


 縛られたかのように、僕の腕の中に閉じ込められる。


 痛みですら久々のぬくもりで、快感へと変わっていくのが手に取るように分かる。


 止められない体の震えから逃れるかのようにシーツを握り締めながら、抱かれることの感動で久しぶりに満たされていた。


 「会いたかった」


 耳元で囁くと、さらに理恵の体は火照る。


 ようやく会えて、そして一つになれることの喜びを、もっともっと理恵の中に注ぎ込んでしまいたかった。
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