最後の恋の始め方
 ……。


 キスをしたり、胸に触れたり、もしくは体が繋がることによって得られた刺激は神経によって体の内部に伝達される。


 それは脳に到達し、快感としてシグナルが発せられる。


 と同時に血圧が上昇するのと、目の前の行為に夢中になるあまり、呼吸をするのも忘れていることが多いのか。


 脳に送られる酸素量が減少し、軽度の酸欠となるみたいだ。


 ……抱き合った後の失神にも似た甘い気だるさは、それが原因らしい。


 メカニズムはそのようなものだけど、大切な人に求められているという充実感も、深く感じ合うには必要かもしれない。


 身も心も満たされたい……。


 「好きで好きでたまらない」


 快感でぐったりしている理恵に、僕は一連の行為を締めくくるかのようにキスをくり返した。


 二人ともピークに達した後。


 女はいつまでも余韻に浸っていたいと願うらしいけれど。


 男は夢から醒めるのが早い。


 事実今も僕は、最後のキスを終えた後、理恵にタオルケットをかぶせて。


 そのままバスルームへと向かってしまった。


 ずっとずっと抱いていてほしいと思う理恵は、一抹の寂しさを感じているはず。
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