Sweet Lover
「本当に有名人なのね」

ぽつりと呟く私に、響哉さんは薄っすらと笑みを浮かべた。

彼は私を見ているというよりも、頭の中で今後のことを考えているようだった。

「残念だけど、そうみたいだ。俺が学校に送ろうと思ってたんだけど……。タクシー呼ぼうか?」

その言葉に、私は思わず息を呑む。


……そうよね。
女子高生と同棲なんてばれたら、マズいよね……。


「歩いていくから大丈夫」

きっぱりそう言い切る私に、響哉さんは不安を隠さない瞳を向ける。

「それは駄目だ。
 春花も忙しいだろうし……」

ひとりごちて腕を組んで思案していた響哉さんは、自分の電話を取り出した。

「そ、響哉。
 ああ、電話代えたって言ってなかったっけ?
 煩いなー。これで登録しておけばいいだろ? それとも何? お前、致命的な機械音痴だったっけ?」

ほとんど一方的に響哉さんが喋っている。
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