Sweet Lover
「ああ、駄目駄目。
 興奮したらまた、血が出てくるよ。
 落ち着いて。
 それに、後1年すれば真朝ちゃんも卒業だろう?
 そうすれば俺も第一線に戻れるし、そのくらいのブランク、すぐに埋めて見せるさ」

「……落ち着けるわけ、ないじゃないですかっ」

言ってること、おかしいんですけど。

「一体、何なんですか? 人にそこまでさせる須藤響哉って――。
 その、須藤グループって言うのは――」

「だから、その話をすると陰が付き纏うんだよ。
 じいさんも、物騒な単語を口にしてたじゃない?
 そういうわけで、響哉が居ないところで、俺だけの知識で話を披露するのは避けたいんだよね。
 大丈夫。響哉を信頼してろよ。アイツ、相当我侭で自分勝手で金遣いも人遣いも荒いけど――。
 良い奴だから」

……そのどの辺が良い奴なの?

先生の言葉が全くフォローになってなくて、呆れた私はついにくすりと笑ってしまった。
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