Sweet Lover
「そうそう。
 真朝ちゃんは俺らのアイドルなんだから。笑っていてくれないと困るんだよね」

冗談めかして言うと、ぽんっと先生は私の頭を叩く。

「ほら、着いたけど。
 ここでもまた抱っこしましょうか?」

「結構ですっ」

私は自分でドアを開ける。

そこは割りと大きな総合病院で――。

「もちろん、これも経営母体は須藤グループが噛んでいる」

先生は耳元でそっと囁いてくれた。

「それから、兄貴には真朝ちゃんのことは須藤響哉の非公式のしかし正式な婚約者だと伝えてあるから――。
 そのように振舞ってね」

「……は、はぁ」

どういう意味か分からないままに、私は頷くほかない。
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