Sweet Lover
今の響哉さんが言うと、それはまるで映画の中の台詞のようで、私はくらりと眩暈を覚えた。

「8月には、向こうに帰ってクランクインしなきゃならないんだ。
 それまでに、考えておいてもらっても良いかな」

私は、反射的にこくりと頷いた。
それから、また、あわただしく朝の準備をする。

「さぁ、時間だ。
 お手をどうぞ、sweety」

差し出された腕に、そっと手を乗せる。

駐車場に降りたら、スカイラインに乗った佐伯先生がわざわざドアを開けて、肩を竦めて見せた。

「……これはタクシーじゃねぇぞ」

「だから、察しが良いヤツは嫌いなんだよ」

響哉さんは躊躇うこともなく私を後ろの席に乗せ、自分は助手席に乗り込んだ。
< 411 / 746 >

この作品をシェア

pagetop