Sweet Lover
準備をして、マンションの部屋を出る。
さすがの響哉さんも今日ばかりはちゃんと、玄関に鍵を置いておいてくれたので、安心だわ。

鍵をかけたついでに、しげしげとドアを見つめる。


ここに、響哉さんはどんな仕掛けをしてたのかしら。

――もちろん、素人の私がどんなに瞳を凝らして見ても、何も分かるはずがない。

「What are you doing, now?」(何やってんの?)

背中から、不意に声をかけられてどきりとした。

「Nothing」(何も)

無理があると思いながらも、そう言って振り向くと――。

なんとそこには、サングラスをかけたカレンさんが、ペギーの手を引いて立っていたのだ。

『ハ~イ、キョーヤは?』

この前のことなんて何もなかったような笑顔。
これぞ女優魂かしら、なんて思いながらも、私は口を開く。

『外出中です』
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