Sweet Lover
やれやれ、と、カレンさんはオーバーに肩を竦めて見せる。

それにしても、本当に綺麗で、そのオーラに圧倒されちゃうわ。

『折角、私自ら帰国の挨拶に伺ってあげたのに。
 留守だなんて、失礼な男ね』

……私、もしかしたら英語の解釈に間違いでもあるのかも。

そう思ってしまうくらい、にこやかな笑顔で、高圧的な台詞を口にしているカレンさん。

『いいわ、別に。
 また、あちらで逢いましょうって伝えておいてね。
 ゲンチヅマサン』

……は?

最後の「耳慣れない日本語」に思わずびっくりして、思考が止まる。


『これ、キョーヤに渡して』

動揺している私に、相も変わらぬ美しい笑顔でそういうと、カレンさんは私に手紙を押し付けて、ペギーの手を握ったまま去って行った。
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