Sweet Lover
誰が、彼女に変な日本語を教えたのかしら――。

そして、彼女はそれを信じ込むことで、自分のプライドを保とうとしている――、のよね?

きっと。


まさか、カレンさんの言葉の方が真実で私は響哉さんに弄ばれてるってことは……ないわよね?

ないに決まってる、と。
左手薬指の指輪に目を落として自分に言い聞かせる。


押し付けられた手紙を持っていっても仕方が無いので、諦めて一度玄関を開け、下駄箱の上にそれを置く。


改めて鍵を閉めようとしたその瞬間。

後ろからにゅっと手が伸びてきて、目隠しをされた。

きゃぁ、と、叫ぼうと息を吸おうとした矢先。
そこに、何かスプレーのようなものを散布されるような音を耳にした。

そうして。
世界は一瞬のうちに、暗転していった――。
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