Sweet Lover
ガタンと、派手な音がして、重厚な椅子が床にひっくり返った。

須藤家のぼんぼんは、こんな失態などしないのだろう。

ヘンリーがあからさまに不快な顔で俺を見る。

俺は肩を竦めた。
そんな瑣末を気にしている場合じゃない。

今、脳裏に過ぎった映像――。

「ヘンリー、どうしてアイツをここの管理人に雇ったっ」

俺は、口角泡を飛ばしてそう問い詰める。

「人道的な配慮です」

ヘンリーは顔色一つ変えずに言う。


何が、人道的な配慮だ。
俺は、時間が惜しくて喋る前に走り出していた。


だって、アイツは――
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