Sweet Lover
【花宮 真朝side】

ナイフの刃の鈍い光が、視線の隅にちらつく。

「どうせ、アンタは覚えてないんだろう?
 平和なもんだよな」

男は、ふてくされたように言葉を吐いた。

彫の深い顔。
黒い肌。
本来は白いはずのその目は、不気味なほど真っ赤に充血していた。

年齢は20代半ばと言ったとこ
ろだろうか。


――ラテン語訛りの日本語――。

ズキン、と、頭が脈打つように痛んだ瞬間。



『――本当にスミマセン。
 Lo siento.』

記憶の中に埋もれていた悲痛な声が、脳裏に響いた。
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