Sweet Lover
「駄目よっ。
 響哉さんの思い出の場所なのに――」

鳩も亡くなって、鳩舎も無くなるなんて淋しすぎるじゃない。

慌てて駆け出そうとする私の手を、響哉さんが掴む。

「駄目だよ、マーサ。
 せめて、着替えて。俺も着替えるから」

二人で急いでパジャマから、平服に着替えて外に飛び出した。

鳩舎は炎に包まれている。

放水によって、炎は小さくなっていて、私たちが近づく頃には、すっかり鎮火されていた。

暗くてよくは見えないけれど、辺りはまだ焦げ臭い。
消防士さんが慌しく走り回っていた。

「危ないから、あまり近寄らないほうがいい」

「――でもっ」

気づけば私は泣いていた。

「響哉さんの大事なものでしょう?
 それなのに――」


――酷い。
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