甘い言葉で


「アハハハハ............ごめん、ごめん。俺『ゆっくんさん』って初めて呼ばれたよ」


「あ、ごめんなさい。間違えましたか?サチから......タローちゃんさん家の近所に住んでるあたしの友達があなたの事をそう言っていたので、つい......」


あたしはすかさず謝った。恥ずかしくて、きっと顔が赤いぞ......
なんか、あたしってこの人に謝ってばかりだなぁ.........


「いや、間違ってないよ。俺の名前『柚希』っていうし」


「『ゆずきさん』だから、サチは『ゆっくん』って言ったんですね」


「そう。だから、あゆみちゃんも俺のことは『ユズ』って呼んでよ。俺は、『あゆみちゃん』って呼ぶけど良いかな?」


なんて、優しく微笑んで語りかけてくれる。
『あ、もう「あゆみちゃん」って呼んでるか』
って、すぐ自分で突っ込みを入れてる。
あたしも『では、早速「ユズくん」って呼ばせてもらいますね』って答えた。


イケメンって騒がれてるのに、三枚目のところもあるんだ。
なんかこの雰囲気、気持ちいいかも。


「あゆみちゃん、チビッ子に人気なんだね。他の女の子達よりも扱いが上手いっていうか、こいつらが信頼しているのが良くわかるよ」


みんなが寝ているバンガローの中に入ってきて、ゆっくりドアを閉めたユズくん。
あれ?塾長の手伝いしなくても良いのかな?


「ユズくんは、晩御飯の準備はしないの?」


然り気無く、そっとあたしの隣に腰を下ろしたユズくん。
あ、近くで見るとやっぱりイケメンだね。


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