甘い言葉で
あたしよりも肩の位置が高い。久しぶりに背の高い男子が居るよ!
あっ!顔は見たらダメだね。ドキドキしそうだ.........暫く、恋はお休みするって決めていたのに。あぶない、あぶない。
「ん?俺はチビ達担当だから、晩御飯の準備は陽一さん達にお任せ。っていうか、丸投げ~」
にっこり笑うユズくんは横目でちらりと見ても良い男に見えて仕方がない。
しかし、何故あたしの居るこのバンガローに来たんだろう?
隣のバンガローにも付き添った方がいい小学生が居るのに.........
そんなあたしの疑問が解ったのだろうか、ユズくんはあたしに説明するかのように話し出した。
「隣の部屋には俺の周りで煩かった女達が居たからね。嫌々チビ達の守りをしている奴のところには行きたくないんだよね。それにさ、好きでもないヤツに迫られても嬉しくないし......」
そうだよね、ずーっとハンターに狙わられていたもんね。
あたしですら可哀想って思ったもん。イケメンも大変なんだねって感じたし。
「そっか、それはお疲れさまでした。あしらい方が上手いから慣れたものだと思ってた」
「慣れるも何もないよ.........もうほんと疲れるだけ。俺のどこが好きなんだろうね?タローみたいな奴ををイケメンっていうんならわかるんだけどさ......」
項垂れながら語るユズくん。
確かに、あの女豹は怖いですよね。
「ユズくんは二枚目のカッコ良さじゃなくてさ、にじみ出る優しさとか?然り気無い気遣いが良いんじゃないかな?ほら、小学生の男の子達に虫取のコツとか教えてたよね?そんなところだよ。あと、ルックスは......サッパリタイプだよね。あたしは好きだけど.........」
と、ここまで言ってあたしはハッとした。
何をベラベラと話してるんだか。
ユズくんの事なんか何一つ知らないのに......