甘い言葉で


「あたし、大学いかないもん。普通科に進学しないよ。だから、ユズくんとは会えなくなるから.........今、付き合っても無理かもよ?」


あたしの考える『無理』とは、お姉さま方の事も含んでね。
ユズくんの彼女があたしってわかると、きっとなにされるかわかんないよ......
進学したらもっと忙しくなるだろうし、そんなにも強くないよ、あたしの心。


あたしが少し冷たく言うと、ユズくんの眉間にシワができた。
あ、怒らせた?


「まだ付き合ってもないのにそんなこと言うの?俺、結構一途よ?あゆみちゃんの事、手放さない自信あるけど?」


偉く自信たっぷりなユズくん。
あたし、そんなに思ってもらえるほど価値ないよ?
あたしがなにも言わずに、ただユズくんを見つめていたら


「わかった。あゆみちゃんの気持ちはわかった。だけど、俺は、諦めない。.........よし、今日から俺たちは恋人同士ね。これから毎日、あゆみちゃんの事が好きだって伝えてあげる。」


顎を掴んでいたユズくんの手が離されて、代わりに正面を向かされた。
ユズくんの両腕は、あたしの腰に巻き付いてる。


「嫌だって言っても、離してあげない。お互いに夢があるからそれに向かって歩いて行くけど.........俺は、あゆみちゃんの傍にいるからね。」


「ゆ、ユズくん.........」


「いいよ、まだ俺のこと好きじゃなくても。気がついたときには俺ナシじゃいられなくなるようにしてあげる。」


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