愛してると囁いて【短編】
「すみません…」


「いや、いいよ。気の済むまで泣いて」



俺の優しい言葉に一度退いた涙がまた頬を伝う。

…ま、これが狙いなんだけど。



「あ、あの……実原先輩は…なんで女の子からの告白を全部断るんですか…?……そ…そ………そんなに…かっこいいのに…」



顔を赤らめてまた上目使いをしてくる。

ま、無意識なんだろうけどまたそれがいい。

俺は優しく微笑んでやった。



「俺、今好きな人がいるんだ…」



俺は少し照れて女の子に打ち明けた。

女の子は、え…、と顔を上げる。


余程驚いたのか泣いていたのが嘘みたいに目が渇いてる。



「でも…彼女は俺の気持ちに気付いてくれないんだ……俺、照れ屋だから告白とかマジ無理でさ…」



悲しそうに笑った。

途端、女の子の表情がきゅ〜んっと乙女に変わる。



「そ、そうなんですかっ!が、頑張って下さい!!」



俺の笑顔に負け、俺を応援する女の子。


やばいウケる。

だってさぁ………





















俺、好きな人なんかいねぇもん。



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