愛してるの代わりに
「宮脇、2年に入って呼び出し何回目?」
学級日誌を書く雛子の横でクッキーをサクっとかじっているのは、雛子の親友、大西未来。
雛子とは違い、私服だと高校生に間違えられることもある大人っぽいルックスの持ち主だが、妙に気が合い、中学入学当初から仲良くしている。
「さあ……。でも時々家の前に待ち伏せしてる女の子とかもいるよ? 多分リボンの色からいって1年生だと思うけど」
「おおーっ。やっぱり後輩人気ナンバー1は違うねえ」
「慎くん、なんだかんだで優しいからね」
ありがと。
未来から差し出されたクッキーを受け取り、口へと運ぶ。
バターの甘い香りが口いっぱいに広がり、気持ちまでもがほっこりしてくる。
「でも今まで宮脇って付き合ったことってないんだっけ?」
「……私が知る限りでは聞いたことはないけど?」
「ふーん……、余裕だねえ、雛子さん」
「ん? 何が?」
「ううん、なんでもない」
少し複雑そうな表情を浮かべた未来だったが、
「気づいてないならしょうがないか」
と小さくつぶやき、手の中にあったマンガに意識を戻した。
慎吾とユリちゃんが付き合いだした。
そんな話が学校中に広まったのは、それから2日後の話である。
学級日誌を書く雛子の横でクッキーをサクっとかじっているのは、雛子の親友、大西未来。
雛子とは違い、私服だと高校生に間違えられることもある大人っぽいルックスの持ち主だが、妙に気が合い、中学入学当初から仲良くしている。
「さあ……。でも時々家の前に待ち伏せしてる女の子とかもいるよ? 多分リボンの色からいって1年生だと思うけど」
「おおーっ。やっぱり後輩人気ナンバー1は違うねえ」
「慎くん、なんだかんだで優しいからね」
ありがと。
未来から差し出されたクッキーを受け取り、口へと運ぶ。
バターの甘い香りが口いっぱいに広がり、気持ちまでもがほっこりしてくる。
「でも今まで宮脇って付き合ったことってないんだっけ?」
「……私が知る限りでは聞いたことはないけど?」
「ふーん……、余裕だねえ、雛子さん」
「ん? 何が?」
「ううん、なんでもない」
少し複雑そうな表情を浮かべた未来だったが、
「気づいてないならしょうがないか」
と小さくつぶやき、手の中にあったマンガに意識を戻した。
慎吾とユリちゃんが付き合いだした。
そんな話が学校中に広まったのは、それから2日後の話である。