愛してるの代わりに
ガバッ。
その言葉にうずめていた顔を持ち上げると、慎吾が目をパチクリとさせた。
「そ、それって……、あの、その……」
上手く言葉が出てこない。
というか、自分の口からその単語を発するのはとてもじゃないけど出来そうにない。
「もちろん、無理強いはしない。雛が嫌なら今日は止めるよ?」
「う、うん……」
ふたりきりの空間、数秒の沈黙の後。
「雛、先に風呂入っておいで」
沈黙に耐えかねた慎吾の言葉に、雛子は素直にうなずく。
そして、自分の荷物の中からアメテニィグッズと着替えを持って小走りにお風呂場へと駆けていった。
「かっこつけちゃったけど、耐えられんのか、俺……」
ソファでひとり、昂った気持ちを落ち着けようとしている慎吾を残して。