愛してるの代わりに
改めてソファに座り直し、今日の撮影の概要を中塚が説明する。
「……というわけで、ひとりの撮影の後、宮脇さんには崎坂扮するたぬ郎との2ショットを撮ってもらうことになりますので」
「わかりました。よろしくお願いします」
「では、撮影に入りましょうか。慎吾くん、中塚さんと先にスタジオに入ってて。崎坂さんは私と。着替えの部屋へご案内します」
「はい。お願いします」
頭を下げ、雛子は早見の後ろについて行く。
「では、ここで着替えてください。準備が出来たら声をかけてね、雛子ちゃん」
突然自分の名前を呼ばれ、目を丸くする雛子。
「ふふっ。慎吾くんから話は聞いてるわ。ずっと会いたかったの」
「わ、私も! 早見さんに会えて嬉しいです」
「それにしても雛子ちゃんがこの仕事に絡んでるとはねぇ。慎吾くんには伝えてなかったの?」
「はい。慎くんとちゃんと会えるかどうかもわからなかったから、言わないほうがいいかと思って」
「でもすっごい動揺してたわよー。大丈夫? あの子、拗ねてなかった?」
「……ですよねぇ」
幼馴染とマネージャー。
やはり慎吾のことをよくわかっているようで、ふたりは顔を見合わせて苦笑する。
「雛子ちゃん、頑張れ」
「はい……」
この先を見越したような早見の励ましに、雛子は力なくうなずいた。