愛してるの代わりに



「スポンサーとの話がついた」

「それじゃあ……」

「雛子ちゃんの気持ちさえ大丈夫なら、この年末年始だな。翔と咲良にはさっき連絡してオッケーはもらってる」
「よっしゃあっ!!!」

思わず立ち上がって喜ぶほど、何に慎吾が喜んでいるのかが見当がつかない。

目をパチクリしていると、目の前の黒川が微笑んだ。

「慎吾から雛子ちゃんと結婚したいって2年前から相談されててね。それで色々と調整を重ねていたんだ」

「に、2年前って、私たち2年前は付き合ってなんかいませんでしたよ?」

「いつか付き合えるようになったときにすぐ結婚できるように、だったっけ?」

慎吾の照れくさそうな顔を見る限り、黒川の言っていることは冗談ではなさそうだ。

雛子の視線に観念したのか、慎吾の口から驚きの真相が明かされていった。

「雛のこと好きって自覚したら、結婚するのは雛しかいないって思って。でも仕事のこと考えたら、すぐにって難しそうじゃん? だから社長に相談して、告白するタイミング探しながら、結婚のタイミングも調整してた」

「私、全然気が付かなかったよ……」

「だろうな。だって俺の告白の前に自分から行動起こしたもんなぁ」

「確かに、いつもの私では有り得ない行動力だったよ」

顔を見合わせ笑い合う。

「まあ、慎吾にその話を聞いた時にはびっくりしたけれど。でも僕も早見さんも反対する気は起らなかったんだよ」

「ええ。雛子ちゃんのことは会ったことなくてもずっと知ってたし、慎吾くんのことを幸せにできるのはきっと雛子ちゃんだって思ってたから」

「早見さん、社長……、ありがとうございます」

深々と頭を下げる慎吾にならい、雛子も深くお辞儀をした。




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