オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
鈴が真顔で尋ねる。

「……辛かったわ。彼女がいるのに、好きになるなんて。しかも、相手は私の友だちでしょう。梨聖の顔を見る度、正直胸が痛かった」

「晴れて、本当の彼女になれたのね。よかったじゃない」

想太とのつきあいを肯定する鈴。

「よかったじゃない、じゃないわよ。梨聖はずっと、さやかに騙されてたのよ」

鈴とはうってかわって、帆乃香が反論する。

「知らぬが仏、って言うじゃない。さやかはずっと黙ってたのよ。ちいさな恋を育んでいたの。それが原因で梨聖たちは別れたわけじゃないんでしょう。だったら、いいじゃないの。それに、梨聖は今、あたらしい恋をしているわけだし」

「そんなんじゃ済まされないわよ。さやかはずっと梨聖に嘘をついていたのよ。梨聖だけじゃない、私たちにまでよ」

「何もかも、洗いざらい話すのが親友ってわけじゃないでしょう。云えないことだってあるわよ」

「だけど、よくもまあ、しれっと梨聖と接していられたわね」
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