Le Petit Princesse
フローラは目が覚めると、頰が涙で濡れているのに気が付いた。




ーーこれ、夢だったの…?






外を見るともう真っ暗だった。
フローラは何故か一人、世界に取り残されているような気分になった。







ーーあの夢、きっと私の記憶なんだ…。
私はあの光景に見覚えがあるし、あの後どこに行ったのかは分からないけど、魔法をかけられた…









「フローラ!」





突然呼ばれて振り向くと、そこにはエリックが椅子に座っていた。





「エリック!いつからいたの⁈」


「昼食を食べ終わった辺りからかなぁ」





そう言ってエリックは笑った。





「それよりすごいうなされてたけど…大丈夫?」


「えっ?」


「寝言も言ってたよ?」


「何て言ってた⁈」


「"行かないで"とかって言ってた気がするけど…。」


「それは言ってたかも…。」


そう言ってフローラは苦笑いをした。




「…ねぇフローラ、昼間の事怒ってる?」


「…えっ?」


「何かすごい怒って中庭出て行ったから気になったんだけど…。」


「…あーっ!そうだった!」


フローラはさっきの夢の内容で頭がいっぱいだった。







「うーん、何で怒ったのかは忘れちゃった!ははっ」






フローラが笑ってごまかしたが、エリックには通用しないようだった。




「本当の事言って?」


「…言えない…。」


「じゃあ言うまで帰らない。」





エリックは真剣な目でフローラを見据えてきた。





フローラは何となくエリックの目を見れずにいた。





「フローラ、さっきからずっと目も合わせてくれないし。何か隠してるでしょ


「…何も隠してない!エリックの方こそ、何か思わせぶりな態度…」






フローラは言いかけてはっとした。
昨日から触れてはいけないワードを口にしてしまったのだ。
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