いつだって、私は。

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恥ずかしい、苦しい、ドキドキする、震える。
そんな感じが体の中に渦巻く。


この感じは、感じたことがある。
高校に入る前、中学校の時に知り合った先輩に感じたものに似ている。


…私はその先輩が好きだった。
いや、今も好きかもしれない。
結局伝えられずにに先輩の卒業を待ってしまったから。


赤葦さんの手が頭の上で動く度に香る爽やかな柑橘系、多分柔軟剤が鼻腔をくすぐる。
その香りはどこかで嗅いだことがあって、私の心の中にあった恋の箱の鍵をいとも簡単に開けてしまった。









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元気かなぁ、斉藤冬夜(さいとう とうや)先輩。









今思い出しても、冬夜先輩の笑顔は胸を高鳴らせる。
本当に好きだった。だけど伝えるのが怖くて、逃げてしまった。


それがすごく後悔してること。
連絡先も知らないからもう会えないのに、未だに心の中に冬夜先輩がいるんだ。









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『一花は一花のままで充分いい女だよ。

変わる必要なんてねぇよ?』









なんで未だに冬夜先輩の声が聞こえてくるんだろ。
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