Happy New Life!【完】
「仕事は自分のためだけじゃ長続きしないぞ。誰かを幸せにできる方が楽しく続けられる。ってこれは会社の先輩の受け売りだけど。俺だってまだ社会人二年目で新人に毛が生えたくらいだから、偉そうに言えないけどな、それに……」

 亨が私にまっすぐに向き合う。

 亨の目が私の視線を絡めて目が離せなかった。

「誰にも必要とされてないなんて言うな。俺……俺がちゃんと見てるから」

 耳まで赤くしてでも誠実に自分の思いを伝えてくれた亨。

 そんな私たちの仲が深くなるのに、そう時間はかからなかった。


 就職のお祝いで連休を利用して温泉に連れていってくれた。初めて一緒に入ったお風呂は緊張してのぼせそうだったし、浴衣から除く亨の胸板にドキドキした。

 お互いの誕生日はどんなに忙しくて、少ししか会えなくても必ず会ってお祝いを言った。コンビニのケーキと缶コーヒーで乾杯したこともあったけれどそれでも私にはどれも思い出に残る誕生日だ。

 バレンタインもホワイトデーもクリスマスも、私の思い出は亨でいっぱいだ。

 決して気が利くわけではない亨だったけど、真面目で何に対しても真剣な亨との恋は順調すぎるくらい順調だった。

 私が三十歳を迎える歳までは。

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