Happy New Life!【完】
「て、転勤―!」
 
 半個室のその部屋で、私は大声を張り上げていた。

 それまでのうきうきした気分なんてどこかに飛んで行ってしまう。

「どこに、どうして? 何かあったの?」

 まくしたてるような私の言葉に亨は落ち着いて話をした。

 ある地方都市へと来月から異動になると……。

「だってここから新幹線でも三時間かかるじゃない」

 目の前が真っ暗になる。

「あぁ……」

「“あぁ”って亨は何とも思わないの?」

 彼の表情も見ずに私はまくしたてた。

「なんとも思わないわけないだろう?」

 興奮している私を宥める様に、やさしく頭をなでてくれた。

 それまで前傾姿勢だった私は、少し落ち着こうと手元のウーロン茶を飲む。

「俺だって、動揺してる。だけどこれがチャンスなんだ」

 亨のチャンス……。
 
 亨が仕事が好きなのは傍にいる私が一番よく知っている。

 だからこそ、あの時私にあんなに的確なアドバイスをくれたのだ。

「沙穂……一緒に来ないか?」

「え……」 

 一緒にって……私が亨について行くってことだよね?

「あぁ、半年ぐらいをめどにして、すぐには仕事も辞められないだろうし。お互いの両親にも話をしないといけないだろう。俺たちもう八年だ。そろそろいい時期だろ。遅いくらいだ」

 優しく私の髪をなでながら亨が話をしている。
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