俺、共犯者と秘密共有中。
 俺はこの日1日中考えていた。


 美咲ちゃんに会ったとして、……なんと言おうか。


 でも出来れば送別会までには、バイト先のみんなにいい報告をしたい。


 それに、時間が経てば経つほど、何も言えなくなってしまいそうだ。


 放課後、うんうん唸って、頭を悩ませていた時だった。


 綺麗な長い髪、……よく見知った後ろ姿を見つけたのは。


 彼女を見るのは同じ大学なのに久しぶりで、意識しなければ、こんなにも会うことがなくなってしまうんだと実感した。


 焦った俺は、さっきまで考えていたことが全部吹っ飛んでしまっていたけれど、身体は無意識に、その姿を追いかけていた。


 辺りに人気はなく、俺の足音はよく響いたのだろう、それに振り返った美咲ちゃんは、目を大きく見開き、小走りになって逃げようとした。


「待って、美咲ちゃん!」

「や、やだ!!!」


 やがて美咲ちゃんも俺も本気で走っていたが、男女の差か、彼女はすぐに捕まった。


 後ろから細い手首を掴むと、彼女は無言で俯いてしまった。


「俺、……話したいことが。」


 言おう言おうと必死で考えたセリフが緊張からか、なかなか出て来ずに必死で思考を巡らせていると、先に美咲ちゃんが口を破った。


「やめて、お願い……。迷惑、だから。」


 彼女はあの日と同じように、斜め下を見ていた。


 ……嘘、だ。


 この前、聖也から聞いた。


 美咲ちゃんは嘘をつく時、斜め下を見つめる、と。


 こうやって嘘を重ねる彼女は、今どんな顔をしているのだろう。


 気になって掴んだ手を引くと、彼女はそれを強く拒んだ。


 諦めて俺は、わざと言った。


「……俺のこと好き?」
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