孤独女と王子様
待てよ。
3ヶ月前から今までの間に、お腹が大きくなってないか?

だとしたら、丈がお腹のせいで嫌でも上がるはずだ。

「とにかく、この靴、持っていきます。お騒がせしました」

僕は衣装室の人に一礼すると、再び控え室に向かって走った。

控え室に着いたのは、予定時刻の10分前。

息を整えて控え室に入る。

「お待たせいたしました。高さ4センチの靴をご用意いたしましたので履き替えて頂き、恐れ入りますが一度立ち上がって頂いても宜しいでしょうか」

新婦は僕の言われた通りの行動をする。

『この分なら、裾は引き摺らなさそうですね。4センチでも行けますよ』

僕の背後からそう言葉を発したのは、ベテランの介添人である須田さん。

「このまま4センチでいきましょう」
『わがまま言って申し訳ございません』
「いえ、わがままではございません。今日はお二人の門出です。それを取り仕切る責任者は今は宇梶ではなく、私ですから。途中体調の変化がございましたら、どうか我慢せずにお申し出ください。男の私に伝えにくいようでしたら、介添人でも構いません」
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