孤独女と王子様
僕がそう言って須田さんを見ると、須田さんは新郎新婦に軽く会釈をしたので、僕もそれに合わせた。

「では、間もなくチャペルに向かいます。心の準備はよろしいですか?」

"はい"と新郎新婦のはっきりとした返事が聞けた。

正直まだ式は始まってもいないのに、ホッとした僕がいた。

それからは転ぶことも、体調を崩すこともなく、順調に挙式、披露宴は終了した。

終了した後、僕は音響セットの後片付けの手伝いをしたその足で、事務室に戻ると、宇梶さんはいない。

その前に打ち合わせサロンも覗いたけど、姿はなかった。

今日は土曜日。
お客様との打ち合わせが何本も入っているであろう日。

事務室に残っていた別のプランナーに聞いた。

『会議室にいますよ』
「会議室?」

会議室は、通常僕達は年に2度あるブライダルフェアの企画会議と月に1度の報告会、月曜日の定例会議くらいでしか使わない。

特に今日みたいな婚礼が何本もある土曜日は、尚更会議室を使うことなんてない。
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