孤独女と王子様
渋る彼女から段ボールを重ねて持っていたうちの1つを奪った。

「急ぎましょう。マイクは、この後の余興で使うんですよね?」
『はい、そうです』

ペガサスに戻ると、会場隅に機材を置いて、スピーカーをセットして、マイクのチューナーを合わせる。

この機材は、うちの会社がイベント用として保有しているものと全く同じメーカーと機種のため、セッティングについて私にとっては朝飯前の作業だった。

『手慣れてますね』
「はい。私、新郎が働く書店の同期で、書店で扱うイベントを仕切るのが現在の私の仕事でして」
『書店でやるイベントって、サイン会とか、ですか?』
「そうですね」

新郎新婦のお色直しが終わるまでにセッティングを完了させないと。

マイクテストを行う。
声を出すのは彼女。

「もう少しボリュームを上げましょう」

再び声を出してもらい、準備が完了。

すると、彼女が耳に填めていたイヤホンからどうやら声が聞こえてきているらしい。
こちらの準備完了を待って新郎新婦が入場するのかも知れない。
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