孤独女と王子様
『だから、人として修業をして胸を張って社会人として生きていられるように、必死にがんばって大手門大学に入って、神戸がわかば堂書店で働いていることは知っていたので、少しでも近い位置にいたくて・・・最終的に出版取次の会社に就職したんです』

"いただきます"と、僕が出したお茶をひと口飲む彼。

『今日、会って、打ち上げをしていると、話すのはあなたのことばかりなんです。ノロケ話でして』

どんな話をしたんだろう。
後で聞いてみようかな。

『社会人として5年のキャリアの差も感じました。僕には、到底追いつけないし、今のあなたと神戸を見ていても、僕が入る隙がない。そう思うと、あの時、ゲームをすること自体に反対しておけば良かったと、後悔の念にかられています』

「今日、ここまで由依を送ってきたのは、その後あわよくば、っていう気持ちもあったんじゃない?」
『はい。少し思いました。けど、一気に諦めに変わりました、貴方の存在で』
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