孤独女と王子様
私は剛さんのいない間に少し寝たけど、剛さんは全く寝ていないはず。

ごはんだってほとんど食べていない。

『お腹すいちゃった』

剛さんは今頃そんなことを言い始めた。

私の体は丈夫だし、体力もある方だけど、剛さんの体力は人間離れしたサイボーグだ。

「眠くない?」
『ううん。まずは食欲』

首を横に振った剛さんは、明らかに"何か作って"とおねだりしているように見えて、その表情が何とも可愛く思えた。

「チャーハンで、いい?」
『うん!』

剛さんはおねだり上手なのかも。
うまく私の心をコントロールしている。

その状況に、むしろ喜びを感じている私。

さっきまで、潤沢な在庫があったはずの避妊具が、この家では品切れを起こしてしまったほど体力を使ったし、剛さんで満たされたはずなのに。

この後、剛さんが帰ってしまう現実が、猛烈に寂しい。

チャーハンを作りながら、私は寂しさに思わず涙をこぼしてしまった。
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