孤独女と王子様
孤独には十分慣れていたはずなのに…
人って、欲張りなものなんだ。

『どうしたの?』

そんな私の様子に気が付いた剛さんがキッチンに立つ私の横に立った。

「剛さんがもうすぐ帰るかと思っちゃうと、寂しくて」

意地を張らない。
虚勢も張らない。
素直な私。

きっと、剛さんによって開発された新しい私の姿なのかな。

『すぐにとは言わないけどさ』

剛さんはそう言って私の腰に両腕を回した。

私は最後の盛り付けを終えて、あとはテーブルに持っていくだけ。

でも、剛さんは何かを言いたそうだから、私は動かずにその場でじっとした。

『それでも近いうちに、何らかの形で由依ちゃんにそんな寂しい思いをさせない環境を作りたいな』

剛さんは、さらに腕の力を強めて自分の体を密着させた。
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