孤独女と王子様
すると、"ただいま~"の声とともに、マリちゃんのママが帰ってきた。

カウンターキッチン奥の勝手口から入ってきたみたいで私からは死角。
顔が見えない。

『あ、お見えなのね。ご挨拶ご挨拶』

独り言のようにママはこちらに向かう・・・

・・・
ん?

ママとして現れたその顔は、私が見たことある顔。

見逃してはいけないと、私はその顔を凝視した。

「か、金澤さん?」
『そういう貴方は、神戸さん?』

目の前の人は、龍成社に勤める、金澤玲奈さん、その人だった。

『由依ちゃん、まばたきまばたき』

剛さんが私の目を無理矢理閉じさせた。

『剛先輩の彼女って、神戸さんだったの?』

金澤さんも驚いてただでさえ高めの声がさらに上ずっている。

「剛さんも局長も人が悪いです。分かっているのなら先に言っておいて欲しいです。私、目が乾いちゃって痛いです」
『アハハハ、ごめんごめん。ちょっとふたりを驚かせたくてさ』
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