孤独女と王子様
「由依、ちゃん・・・」

初めて聞いた。
僕は兄夫婦がいながら、由依ちゃんの告白に泣きそうになった。

そんな僕の表情に気付いたのは、兄たちでも由依ちゃんでもなく、マリちゃんだった。

『ゴウくん、かなしいの?』

人形を持ったまま、僕が座っている傍らに来てそう言った。

ケン兄さんがそれを見て、"フフ"と鼻で笑い、

『お前は最高に幸せな男だよ』
『でも由依ちゃんにこんなこと言わせちゃダメだよ』
「そうだよね。ありがとう、由依ちゃん・・・」

ここがケン兄さんたちの家じゃなければ、由依ちゃんを抱きしめてあげたかった。
僕を見て微笑んだ由依ちゃんが、いつも以上に天使に見えた。

「これもケン兄さんが、由依ちゃんを舟さんに会わせたり、遥香ちゃんと仲直りさせたり、いろいろ力になってくれたからだよ。ケン兄さんも、ありがとう」

マリちゃんに顔を覗かれている。
4歳の女の子に慰められている、満年齢26歳の僕。

『マリ、お人形遊びが終わったなら、ちゃんと片付けしてきなさい』

レナっちにそう言われて"はぁい"と素直に従うマリちゃん。

由依ちゃんと一緒に箱に片付け始めた。
< 262 / 439 >

この作品をシェア

pagetop