孤独女と王子様
『そりゃ、今までの私の人生を振り返ったら、お父さんもお母さんも恨んでしまうかも知れないけど、そんな後ろ向きなことはしたくない。だって、私には剛さんがいるもん』

由依ちゃんは僕に振り向いて、微笑んだのち、また舟さんに向き直った。

『幸せが目の前にあるなら、それに向かって突き進むべきだと思う』

由依ちゃんの言葉は力強い。

『剛さんがいなかったらきっとこんなことは言わなかっただろうけど・・・でも、啓慈くんのお母さんがお母さんだったってことも、私は嬉しい。だって、他の女性の子供だったら、娘の私としては、複雑だよ』

僕の名前が出てくるのが、なんだか嬉しいけどくすぐったい。

『逆に私はお父さんに言いたい。お母さんを、思い続けてくれて、ありがとう。そして、幸せを掴むチャンスが生まれて、良かったね、って』
< 319 / 439 >

この作品をシェア

pagetop