孤独女と王子様
「いいよ、好きにしな」

信頼してもらえなかった悔しさで、僕は投げやりになってしまった。

「どっちみち、昨日その体でテニスをやるくらいなんだから、家族が増える自覚も、自分の体への労りもないわけだろ?だったら、僕が何を言っても無駄。由依ちゃんは頑固だし」
『私、そんなつもりじゃ』

トイレのドアの前での一悶着。
僕が撒いた種なのかも知れないけど、この空気に耐えられなかった。

「今日、仕事行くか行かないかもどうせ僕の意見なんて採用されないだろうから、何も言わないよ。僕は今日、送別会があるから夕飯は要らない。行ってきます」

僕は由依ちゃんの"行ってらっしゃい"の言葉もスルーして、家を出た。

今日は金曜日。
明日の担当をする1組について、プランナーから引き継ぎを受けた。

でも、今日の僕は本調子じゃない。
どこか集中力に欠けている。

コーヒーは零す。
プランナーの話を聞いていない。
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