孤独女と王子様
『体調不良を言い出せなかった奥さんを責めてはいけない。むしろ、奥さんの体調不良を見抜けなかった自分を責めなさい。そして、旦那失格だと思いなさい』

先生のこのひと言は、僕の胸に刺さった。

今朝、全く逆のことを由依ちゃんに言い放ってしまったから。
由依ちゃんが僕に自分の体調不良を隠していたことを責めてしまったから・・・

由依ちゃんが倒れたのは、そのバチが当たったんだ。

「あの、お腹の子供は・・・」
『正式には産婦人科の診察によるが、恐らく出血もないし、大丈夫だろう。ただ、妊娠中は色々ナーバスになりやすい。夫のケアは大事だよ』
「はい。ありがとうございます」

僕は、由依ちゃんの眠る救命救急用の個室に向かった。

貧血と睡眠不足で運ばれて救急で眠るにしては、環境が恵まれ過ぎている。
大部屋のベッドに空きがなかったらしい。

しかし、個室に入る前に僕には1つだけやることがあった。
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